雨水・風呂残り湯(水)利用システムを自作

 

雨水と風呂の残り湯を利用するシステムを作りました。

 

きっかけ

2ヶ月ごとにいつも支払っている上下水道料金。
平成27年7・8月分が使用量59立方mで約19,000円
その前年は64立方mも使っていました。

単純に1日約1立方m、つまり1,000リットル使っていることになります。風呂水で4杯分。これは多すぎるのではありませんか。
ここは当サイトのポリシーからしても、節約しなければなりません。

夏は水やりが多いので仕方がないかと思っていましたが、考えてみたら水やりなどはわざわざ飲めるようなきれいな水道水を使う必要はありません。
トイレに流す水も同様。洗車も別に水道水でなくてもいいような気がしてきました。

調べてみると、トイレに流す水は1回あたり約14リットル。10回流すと140リットルにもなります。家族全員で30回は下らないと思うので、トイレだけで約500リットルくらいか・・・

そこで試算することに。

風呂水:250リットル
トイレ:500リットル
洗濯:30リットル
調理:50リットル
水やり:100リットル

合計すると930リットルとなり、実際と大きくは違わない数値です。
どうやら一番たくさん使っているのはトイレのようです。

そして追い打ちをかけるような出来事が・・・

ある日、久しぶりにプールに入った日の夜、何度もトイレに行かなければ我慢できなくなりました。泌尿器科にいくと、冷えによる「慢性前立腺炎」と診断されました。
病気も辛いけど、水道料金も気になる。

そこで、無駄に捨てている雨水と風呂の残り湯を有効利用しようと思い立ちました。

構想

要するに雨水と風呂水をタンクにため、それをポンプでトイレと庭の蛇口に送ればいいだけなのですが、いざ工事を始めると数々の困難があるのでした。

タンク

我が家の風呂は一般の風呂より大きめなので、容量は約250リットルですが、洗濯(ドラム式洗濯機)に少し使うので、残り湯は約200リットル。

雨水がどれだけたまるのかわからないのですが、できるだけ大きいタンクがいいだろうと思い、500リットルのタンクにすることにしました。

ホームセンターで色々探しましたが、Amazonで見つけたタンクが安かったのでこれに決定。約1万円です。

ロータンク

我が家のトイレは、1階と2階の2箇所にありますが、どちらもロータンクはTOTOのS721Bという機種です。
ロータンクには給水用に左右2箇所穴が空いています。左側には水道水が供給されるようになっているので、雨水タンクからは右側の穴から供給することにします。

左側の水道水の配管に分岐水栓で接続すればよさそうなのですが、これはクロスコネクションといい、「水道法施行令第五条の6」により禁止されているので、絶対してはいけません。万が一雨水タンクの水が一般の水道に逆流すると、周りの家庭に大変な被害をもたらすおそれがあります。したがって、雨水や井戸水などの配管は、水道の配管と完全に切り離さなければなりません

 

タンクの穴あけ

雨水を取り入れるパイプはVP25。
風呂水を取り入れるパイプとタンクからトイレへ送るパイプはVP13。
水位計の取り付けはVP13用。
としたので、それぞれに合うようにタンクに穴を開けます。

水位計は外形10mmの透明アクリルパイプを使用しました。塩ビパイプとの接続は、グルーガンで行いました。

大雨が降ったときのための、オーバーフロー用のホースを取り付ける穴も開けておきます。

 

ポンプ

寺田ポンプの「ホームポンプTHP-250K」にしました。寺田ポンプには他にもTHP-81KとTHP-151Kもあるのですが、一番強力なこの機種にしました。
理由は2階のトイレに余裕を持って給水したいことと、庭の水やりの時に勢いよく散水したいからです。

他メーカーにもカスケード型という高さの低いポンプもあるようですが、価格が高いためやめました。
THP-250Kはコメリドットコムで49,800円で購入しました。

コメリドットコムでは、この商品のおすすめ品として砂取り器(S-25)を推薦していたので同時購入しましたが、思ったより重く大きいので取り付け不可能と判断し,返品しました。おすすめはよく検討した方がいいようです。

ポンプへ給水するにはストレーナーが必要ですが、価格が高いので自作しました。

キムチの空き容器に穴を開け、その外側をストッキングタイプのゴミ取りネットで覆いました。容器の蓋の部分からホースで取水します。容器は浮かないよう石を入れておきます。

 

トイレ用の配管

タンクからトイレへは、地面を掘ることができる部分は、ツルハシで掘って地中に埋めました。将来タンクを増設するときのための配管もついでに設置しておきます。

掘ることができない部分は、凍結防止材を巻いた後地上に配管しました。

一番悩んだのが壁の貫通です。結局フレキシブルパイプを使用することにしました。
フレキシブルパイプを通すには、直径26mm以上の穴を開ける必要があるので、直径27mmのホールソーを購入し、トイレの内側から穴を開けました。そしてそのまま外壁へ突き進もうとしたら、ウォォー先へ進まない

ホールソーにはツバというものが付いているのでした。

このツバなぜついているのか???
おそらく、穴を開けた後ホールソー全体が壁の中へ入ってしまうと、その後抜けなくなってしまうから、そうならないよう穴が空いた後、それ以上先へ入らないように配慮されているのではないかと思われます。

でも今回の場合は、内壁と外壁とを同時に開けなければ穴の位置が一致しないので込ますのです。すぐにホームセンターへいったら、ありました。
ツバなしのホールソーが。写真左がツバ有り、右がツバなしです。

延長シャフトを付けて、一気に開けます。
外壁まで貫通したら、そのまま外壁の外へホールソーを取り外します。

2階のトイレへは、エアコン用のダクトを用いて立ち上げました。

 

風呂水取水側の配管

我が家の風呂は2階にあるので、風呂からタンクのある場所へ下り勾配を付けながらVP13を使って外壁に取り付けるだけです。これは簡単でした。タンクへの接続は普通のホースを使いました。

実際に風呂水をタンクへ落とすときは、まず市販のバスポンプで数秒吸い上げます。水が配管の一番高い部分を通過したらバスポンプの電源は切ります。サイフォンの原理で浴槽の水がなくなるまで、すべてタンクに行きます。

風呂が1階の場合は、バスポンプのタイマーを使用するしかないでしょうね。

 

雨水取水側の配管

「マルトラップ」という集水器を「エコショップ節水村」というネットショップで購入しました。

これは優れものです。ゴミを取り除くフィルターもついていますし、縦樋の内壁を伝わってきた水を効率よく集めてくれます。
我が家の縦樋は黒なので「マルトラップ」も黒に塗装して使用しています。

水道水のロータンクへの給水

水道水は普段は遮断し、雨水タンクがなくなったときだけ使用するため、バルブを設けました。
また、ウォシュレットは水道水を使用するため、バルブの直前で分岐し、ウォシュレット用の配管に接続しています。

 

電磁バルブによるロータンクへの給水(大失敗)

普通ロータンクに供給する水道水をON・OFFするには、ボールタップという装置を使用します。直径10cm位のフロートの上下により、バルブを開けたり閉じたりするようになっています。

しかし、ロータンク内に水道からと雨水タンクらと2セットのボールタップを取り付けるスペースはないのです。

そこで、今回はこれを電磁バルブによって行おうと試みました。
これは大失敗だったので、概略を説明します。仕組みは次の通りです。

1 ロータンク内にフロートスイッチを取り付け、水が下がったらON、上がったらOFFになるようにする。
2 フロートスイッチのON・OFFをSSR(ソリッド・ステート・リレー)に伝え、電源電圧100Vの電磁バルブをON・OFFする。

これがフロートスイッチを設置したところ。

電磁バルブは1個2,690円でモノタロウで購入しました。

SSRと電磁バルブと配管はこんな感じ。

実際に取り付けたら、こうなります。

さっそくトイレの水を流してみました。
ロータンクの水が減ってくると、電磁バルブの「カチーン!」という結構大きな音とともに水が供給されています。成功!

「カチーン!」は電磁バルブが動作したときの音です。
ロータンク内の水位が上がってくると、「カチ・カチ・カチーン!」と3度連続音がし、給水が止まります。若干ロータンクの水位が揺れてOFF・ON・OFFとなっていました。

一応成功はしたのですが、あの「カチーン!」は夜中は気になるのではと思いました。
もう一つ気になることは、電磁バルブは急激に水流と止めるので、「ドーン」というウォータハンマーが発生します。ウォータハンマーを防ぐには、それを防止する装置を取り付けなければならないのですが、これが結構高価なのです。

そして致命的な出来事が翌日の朝に起こりました。何と2階のトイレの水が止まらず、流れっぱなし状態に。
やむを得ずタンクからの給水をストップし、水道水に切り替えることになりました。

後日電磁バルブを取り外し、メーカーに送って調べてもらったところ、小さい砂粒がオリフィスという水を止める部分に詰まっていたことがわかりました。

これを避けるためには、目の細かいフィルターを取り付ける必要がありますが、これがまた高価なのです。
電磁バルブは、工場などの精密なところで使われるのでしょうね。
断念することにしました。

 

電磁バルブ廃止、SANEI製ボールタップに交換

電磁バルブは諦めるとして、さてどうするか。
以前ホームセンターで見かけて気になっていたSANEI「万能ボールタップV530-5X-13」が、特価で1,980円で売っていたのを思い出し、これに賭けてみることにしました。

これだと取り付けスペースがあまり必要ないので、取り付け可能です。

まずは1階。
電磁バルブと付随する部品はすべてはずし、SANEI製万能ボールタップを取り付けました。雨水タンクからの給水は、フレキシブルパイプで接続します。
作業は至って簡単ですね。

そしてコックON。

すると静かに給水が始まり、ロータンクの水位が上がると静かに給水が止まりました。
何じゃこりゃ。あれほど苦労した電磁バルブの欠点が、一気に解消された瞬間でした。

改めて万能ボールタップの構造をよく見てみると、次のような特徴があります。
・ 普通のボールタップの球状のフロートではなく、お椀を伏せたような構造のフロートが垂直に上下に動く構造になっている。さらにきちんとバルブを閉じるために、最初フロート上部に流れ込んだ水が、最終的に細い穴から流れ出てフロート自体が軽くなり、浮力を増すようになっている。
・ 水位の調節が簡単にできる。
・ 金属部品がほとんどないので、錆の心配がない。
・ ストレーナーが内蔵されている。
・ ウォータハンマーが全く発生しない。

SANEI恐るべし。特にこの万能ボールタップを開発した人は尊敬に値します。

SANEIはもちろん有名な企業であることは知っていたのですが、水栓金具などはTOTPやLIXILの方が一般的です。しかし、この一件でSANEIに対する認識が変わりました。

すぐさまもう一つ購入し、2階のトイレへも取り付けました。
配線もなくすっきりしています。

 

電磁バルブによる低水位時のタンクへの給水(大失敗)

雨水タンクの水が減ってくると、ポンプに水が供給されなくなり、ポンプが空運転するので、そうならないよう低水位になると自動的に水道水を雨水タンクに供給する装置を作りました。

これもフロートスイッチ、SSR、電磁バルブで構成しました。給水源は水道です。

雨水タンクの水位が減ってきて、動作を確認しようと思っていたところ、突然外から「カン・カン・カーン・カーン・・・・・・」とけたたましい音が聞こえてきます。おそらくこれが続けば、通行人から警察に通報されそうな音です。

慌てて外に出てみると、その音は雨水タンクから発生していました。

原因はすぐに判明しました。

タンクの水位が下がり、正常に電磁バルブが開き水が供給されているのですが、その時水面が波打つのです。そのためフロートスイッチも激しく上下し、電磁バルブを何度もON・OFFさせていたのです。これでは給水もままなりませんし、音が激しすぎます。

ウーン、ここも電磁バルブはだめか。
電磁バルブは取り外し、しばらくの間タンクの水が切れないよう確認する日々が続きます。

のちに電磁バルブはヤフオクにて格安で売却しました。

 

タンク低水位時のポンプ電源停止装置

考えてみれば、タンクの水位が低くなった時に水道水を補給するのはもったいない。
いっそのこと水位が低くなったらポンプの電源を遮断し、その段階で水道水に切り替える構造にしようと思いました。

ロータンク用の電磁バルブをコントロールしていたSSRを利用し、水位が高いときはポンプの電源がON、下がったらOFFになるよう設計しました。

このSSRは最大20Aまでコントロールできます。ポンプの定格が250Wつまり100Vで2.5Aなので常時ONでも全く大丈夫。

回路図は次の通り。

実物は次の通り。

実際に装着してみると、電磁バルブの時のように音が全くしないので、すぐにはわからないのですが、確かに水位が低いときは、ポンプが運転しなくなりました。

これにてシステムは完成!

ポンプからの水は、トイレに送られる他、水やりや洗車にも使用できるよう、ホースを接続するためのバルブとニップルを3箇所設けています。

 

節水効果

さて、どれほどの節水効果があるのか。
平成28年7・8月分が30立方mで約8,500円。
このシステムが完成する前の約半分の水道使用量となりました。

水道料金は使用量が増えると、だんだん1立方mあたりの料金が高くなる仕組みなので、なるべく少ない方が良いのです。
料金にすると約1万円の減少です。

ちなみに平成29年7・8分は22立方mで6,000円とさらに減少しました。

2ヶ月で約1万円の節約なので、1年で6万円の節約です。
システムの製作費用は、電磁バルブの無駄遣いも含め約10万円なので、2年も使えば十分元が取れるという所でしょうか。

 

雨水・風呂水タンク増設へ

2018年10月8日

Posted by kazu-DIY