家を自力で全塗装

2018年6月24日

家を丸ごと自分で塗装しました。

 

 

はじめに

2017年。我が家は築後20年を経過しました。
軽量鉄骨造で建坪20坪ほどの総2階。屋根はスレート、外壁は窯業系のサイディングです。

屋根は苔が生えて真っ茶色。屋根の金物は元々は黒だったのが塗装が紫外線で劣化し、退色して白っぽいグレー。

壁は白化が進んで指で触ったら白い粉がつきます。

また、雨樋はもとは黒だったのですが、紫外線による劣化で白っぽくなっています。

要するに全面的に塗り替える必要があるということです。20年も何もメンテナンスしないとこうなるのですねぇ…

それで、ハウスメーカーのリフォームに全塗装の見積もりをお願いしたら、なんと

170万円!

そんなお金ありません。

でも、他の一般業者にお願いしても100万円は下らないでしょう。

たった塗るだけなのに。

思ったのが

足場さえあれば自分で何とかなる、と

 

足場の手配

さっそく近所の大工さんに聞いたら、足場業者はそれぞれ関係のある業者とのつながりがあるので、素人は相手にしてくれないんじゃないかな?とのこと

何ヶ月かたって

大学時代の同窓会があって、そこにいた友人がインテリア関係の仕事をしていたのです。

その人に「足場さえあれば自分で塗装するんだけどなー」などと話をしていたら、「足場業者を紹介してあげようか」ということになったのです。

早速紹介してもらったら、すぐに足場業者が見積もりをしに来てくれました。

レーザー距離計を使って、ささっと距離を測り、出てきた言葉が
「税抜で15万円です。階段などもサービスします。」
すかさず「お願いします!」

 

塗料の選定

塗料の種類

塗料の種類は星の数ほどもあり溶剤の違いにより「油性」と「水性」、合成樹脂の違いにより「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」等に分かれます。
また「艶あり」「5分艶」「艶なし」等の選択もできます。
もちろんメーカーによっても性能が異なり、何でも良いというわけにはいきません。

塗料屋さんに聞いたりネットで調べたりした結果、私が選んだのは次の通りです。

・水性
・シリコン
・艶あり

となりました。

「水性」にしたのは、ハケなどの処理が油性に比べて圧倒的に簡単であること。
油性は溶剤が揮発するので環境に悪いこと。今では車の塗料さえ水性になっています。
「シリコン」にしたのは、価格と性能のバランスが良いためです。耐久性で評判の「フッ素」に比べて格段に安いのでした。

「艶あり」にしたのは、数年経つとどうせ徐々に表面が劣化してやがて艶がなくなってくるので、それなら最初くらい新品感を出すために「艶あり」にしておこうと思ったからです。

また「つや消し」は、つや消し剤(小さな粒)を混ぜているので、塗る面の下地の状態や乾燥中の気温・湿度によって素人ではムラができる可能性があると判断したためです。

 

色について

ホームセンターに売っている塗料は明るいベージュとかが主流で種類が限られています。ですのでホームセンターは却下。

私が塗りたかった色は「ほんの少し黄色と赤色が感じられる渋いグレー」という何とも言葉では表現できない色です。

塗料屋さんに頼めば、色のマンセル値を指定することにより好みの色で造ってくれるのですが、実際塗ってみないと全体のイメージがつかめないのと、塗料屋さんで普通に買うと普通にお金がかかってしまうのでこれも却下。

次に塗料メーカの色見本を塗料屋さんからもらったり、メーカーから取り寄せて検討しました。

既製の色の種類がたくさんあり、好みの色があったのがエスケー化研という塗料メーカでした。

次に、塗る部位によっては塗料の種類を使い分ける必要があります。

基本的には水性シリコンで行くとして、結局使用する塗料は、次の通りとなりました。

屋根

下塗りの塗料は、エスケー化研の「水性クールタイトシーラー ホワイト」
上塗りの塗料は、エスケー化研の「水性クールタイトシリコン CLR-110スレートブラック」
としました。

この塗料は太陽の赤外線を反射して、屋根裏の温度を下げる効果があるそうなので、夏が楽しみです。

外壁

下塗りはエスケー化研の「水性ミラクシーラーエコ(クリヤー)」。
→このクリアーが後に失敗例となります。

上塗りは同じくエスケー化研のセラミック配合シリコン塗料「水性セラミシリコン」、色は色見本を見て気に入ったSR109(マンセル値:9.1YR6/1.7)。→実はこの色選択も後の失敗例となるのでした。

マンセル値とは、上の例で言うと
9.1YR→色相を表し、Y(黄)とR(赤)の間でかなりY(黄)に近い。
6→明度を表し、10が白、0が黒です。
1.7→彩度を表し、白・グレー・黒などの無彩色が0、それに色味が加わるごとに2・3・4と数値が大きくなる。

ということで、色見本を見る限り、まさに「ほんの少し黄色と赤色が感じられる渋いグレー」なのです。

 

金属部

下塗りの塗料は、「一液特殊変性エポキシ樹脂さび止め塗料」という種類で、エスケー化研の商品名は「マイルドサビガード」、色は「グレー」です。

上塗りの塗料は、「一液弱溶剤型特殊樹脂塗料」という種類で、商品名は「一液マイルドシリコン」、色は「黒」です。

これは塗料用シンナーで希釈して使う「油性塗料」ですが、次項の樋の塩化ビニールの塗装は油性でないと密着しないので、同じ塗料を使いたいため油性としました。

ま、屋根面や壁に比べると面積が格段に小さいので、匂いもそんなに気にならないでしょう。

 

樋(塩化ビニール)

金属部と同じ「一液弱溶剤型特殊樹脂塗料」の「一液マイルドシリコン」です。
ただし、塩化ビニールには下塗りをせず、直接「一液マイルドシリコン」を塗ります。

このようにして、塗料のメーカーと色を決定したら、塗料の注文です。
地元の塗料屋さんと色々なネットショップを調べたら、やはりネットショップの方が安いのでした。塗料屋さんごめんなさい。

塗料の種類によって各ネットショップの値段はまちまちなので、数店を比較します。

そして使用する塗料の量は、実際塗ってみないとわからないので、当面必要な塗料だけ注文しました。

 

いざ工事開始!

夏場は暑くてどうにもならないと思ったので、工期は4月下旬からまだ梅雨の始まらない6月初旬まで。
もちろん隣の家には、工事が始まることは伝えておきました。

週3日は仕事をしているので、実質週4日。中には雨が降る日もあるので、できるだけ急がねば。

以下、日記風に記述します。

 

足場組立

4月18日

約束の時間通りに足場業者がやって来ました。トラックにぎっしりと足場の資材が積まれています。

トラック足場

3人の作業員が慣れた手つきで家の周りに必要な資材を置いていきます。

半日で足場設置が完了しました。

組み上がった段階で、作業員の一人が屋根の上で
「こりゃ危ない、屋根が風化して滑る!」

登ってみると、確かに古い塗膜と苔とホコリが渾然と混ざり合って、屋根全体がズルズルの状態でした。
この段階で、私かなりの不安を感じています。

足場業者:「完了しました。」

私:「ありがとうございました。普通どのくらい期間がかかりますか?」

足場業者:「2ヶ月もあったらできるでしょう。」

私:「自分で塗るんですけど、2ヶ月過ぎたらどうしましょう?」

足場業者「自分で塗るんですか? ・・・・・・  ま、うちは2ヶ月過ぎてもかまいませんが。」

私:「できるだけ2ヶ月以内に終わらせます。」

足場業者:「気をつけてください。足場に入るときは、必ずヘルメットを付けてください。付けずに入ると、気がついたら頭から血が吹き出ていたなんてことはよくありますから。」

というアドバイスを残して業者は帰っていきました。

この会話の内容から、足場の料金は設置及び撤去の料金であることがわかります。

設置と撤去で計2日、作業員は3人。延べ6人として。1人1日あたりの料金が

15万円÷6=2万5000円

事前の足場計画作成や作業の準備などがあることを考えると、ま、妥当なところでしょう。

むしろ安いと思えるほど。

洗浄

4月19日

まずは屋根の洗浄です。

ご覧のように茶色の物体は苔です。

屋根の傾斜は5寸勾配で、角度にすると約27°です。油断すると砂をまいた滑り台のように足下がズルズル滑ります。こけたらスレートが割れるおそれがあるので、かなり慎重に歩きます。

高圧洗浄機はヒダカのHK-1890。

これを2階のベランダに置き、1階の水栓からホースで水を供給します。

高圧ホースは高圧洗浄機から延長ホースを使って全長25mとし、屋根まで導きます。これで屋根全面を洗浄できるはず。

高圧ホースの先にはターボノズルヘッドという渦巻き状に噴射されるヘッドを装着しています。

おそるおそる屋根の一番上まで這い上がり、噴射開始。

するとどうよ!

あれだけ醜かった屋根面がみるみるうちにきれいになっていきます。ザラザラ面がツルツルになり、足が滑ることもなくなりました。
恐るべし高圧洗浄機。これがないと塗装はできません。

後で述べますが、スレートの一部が割れているので、その部分を洗浄すると屋根内部に水が浸入するので、この日は割れた部分以外を洗浄しました。

おかげで屋根の洗浄はほぼ1日でできました。

 

屋根板金部のケレン、割れた屋根の補修

4月22日

棟部分の板金が錆びて塗料が浮き上がっています。
そこをディスクグラインダーで錆を落とします。

また、過去の台風のためかスレート瓦が割れているところがあります。
割れて飛び散った破片を集め、それでも足りない部分は、新しいスレートを1枚買ってきて、不足している部分の形に合わせてディスクグラインダーで切断し、合わせていきます。

そして瓦用防水充填剤を使って貼り合わせていきます。

 

 

洗浄完了

4月25日

瓦の接着剤が固まっていることを確認し、再度屋根の洗浄。

そしてついでに樋の洗浄もしました。

屋根板金部下塗り

4月28日

屋根の板金部の下塗りです。
塗料は「マイルドサビガード(グレー)」。

面積はさほど広くないのですぐに塗れます。

屋根下塗り開始

4月30日

いよいよ屋根の下塗り開始です。

まずローラーでは塗れないところをハケで塗ります。

次にローラーを塩ビパイプつないで延長し塗っていきます。

斜面をしゃがんでの作業なので、結構キツイです。
結局屋根の3分の1位しか塗れませんでした。

その夜、足の筋肉痛と痙攣で夜中に何度も目が覚めてしまいました。長ーい苦痛の一晩でした。

この調子では全部塗れない!

翌日考えました。何とか立ったまま作業できないか、と。
ローラーをじっと見ていると、柄のおしりの所に大きな雌ねじが切ってある。

・・・・・

これひょっとして柄の延長ができるんじゃないの?

すぐにホームセンターに行ったら
ありました。

あの雌ねじの穴はまさにこれを繋ぐためだったのです。

 

屋根下塗り完了、中塗り、上塗り

5月2日~5日

連休なので作業を集中させます。

ローラーの柄が長くなっているので、立ったまま作業できます。
実に楽になりました。
作業効率も上がり、どんどん塗り進めていきます。

下塗りが完了しました。

上塗りは「水性クールタイトシリコン」を2回塗るのですが、その1回目を中塗りと表現しています。

板金部分に塗料がつかないよう、養生テープでマスキングし、中塗りの開始です。

中塗りと上塗りで3日かかってしまいました。

5月とはいえ、屋根の上は直射日光にされされているので、結構高温になっています。

水性塗料なので塗った瞬間湯気が上がってくることもあります。

屋根が早く劣化するというのも納得できます。

もうくたくたです。

 

外壁の養生

5月7日

いよいよ外壁の塗装に入りますが、その前に外壁にくっついている配管などをはずし、窓のサッシやコンセント類に塗料が付かないように、養生テープで養生します。

養生テープの説明を見ると、塩化ビニールには使用不可と書いてありますが、そんなことを言われても他の方法が考えられなかったので、全部養生テープを使いました。

ちなみにコンセントは塩化ビニールでできています。

後日養生テープを剥がしたときにわかったのですが、養生テープを張った部分は表面が侵されていました。

結局養生するだけで3日間を費やしました。プロなら半日か1日でしょうね…

 

外壁下塗り(細部)

5月11日

下塗り開始。塗料は「水性ミラクシーラーエコ(クリヤー)」

ローラーで板板塗りたいところをぐっと押さえて、まずは養生テープとの境や目地部分など、ローラーで塗れない所をこつこつと塗っていきます。

ここで活躍したのが百均で売っている目地刷毛。

コシもあるので非常に塗りやすいのです。

サイディングの継ぎ目の目地は、軟質塩化ビニールのようなのですが、特に浮いていることもないのでそのまま塗りました。

ちなみに我が家は、駐車場の屋根やウッドデッキなど、外壁に密着している部分が多いので、大変苦労しました。

細かな所を塗るには、このようなローラーも便利です。

細部を塗るだけで3日かかってしまいました。

 

外壁下塗り

5月14日~17日

外壁をローラーで塗っていきます。ローラーで塗れない部分は目地刷毛で塗ります。

最近の塗料は良くできていて、適量の塗料を塗ると、よく伸びるし垂れることもありません。

要するにかすれるようだと塗料が足りないし、多すぎて垂れるようだと他の部分に塗料を伸ばせば良いのでした。

ローラでの下塗りは、3日かかりました。

ここで失敗

下塗りの塗料はクリア。つまり「透明」なのです。

よく見ると、塗ったところは艶があるので塗ったかどうかわかるのですが、ぱっと目には塗ったところとそうでないところの見分けがつかないのです。

つまり、塗り残しの可能性があるということです。

以前塗料屋さんに相談したとき、「下塗りは白ね」と当たり前のように言われていた意味がやっとわかりました。

実は下塗りの塗料は、「クリア」と「ホワイト」の2種類があり、普通塗装するときは「ホワイト」を使うのでした。

ではなぜ「クリア」があるのか?

それは石目調などのサイディングの場合、新たに有色の塗料を塗ってしまうと、元の石目調の微妙な色のグラデーションがなくなってしまって不自然になります。

そこでその場合は、クリアの下塗りを塗って、同じくクリアの上塗りをするのでした。

メーカーのカタログを確認すると、ありました。シリコンでもフッ素でも上塗り用の塗料に「クリア」があるのです。

しかも元の色はそのままで表面はしっかり保護してくれる方法です。

従来のイメージを変えたくない人にはお勧めでしょうね。

たださっき書いたように、塗り残しの危険があるのと、外観の色を変えたい人にとってはあまり良い方法ではないですね。

で結論

有色の上塗りをする場合は、下塗りの塗料は白を使いましょう。

 

屋根板金部上塗り

5月16日

ここで屋根の板金部の上塗り。
塗料は「一液マイルドシリコン(黒)」。
面積はさほど広くないので、中塗り・上塗りを一日で済ませることができました。

屋根は見違えるほどシャキッとしました。

 

外壁中塗り

5月20日~27日

中塗りをします。

例によって細部から開始します。

しかし何か嫌な予感。

以前より濃いめの色を想像していたのですが、明らかに明るい。しかも思ったより黄色っぽい。

色見本とつきあわせてみると、確かに色見本と同じ色。

でも実際に広い面積を塗ってみると、全くイメージが異なるのです。

「広い面積の場合色見本よりかなり明るく感じる」ということはネットで調べて知っていたつもりなのですが、ここまで違うとは。

よく建築関係のサイトで外壁のシミュレーションをしていることがありますが、全く当てになりませんよ。

色は心理的な物であることを改めて知った出来事でした。

中塗りだけで20リットル缶1缶では足りなかったので、追加注文です。

次はちょっと濃いめの「SR413(マンセル値:7.7YR5.9/1.5)」。

以前より若干暗めで、彩度も低めなのですが、今度は赤みが強くこれもイメージしていた色とは違っていました。

ウーン色は難しい。

ま、上塗りで色を変えることができるから、とりあえず塗り進めよう…

ということで、中塗りに延べ7日かかりました。

 

外壁上塗り

5月30日~6月4日

SR109もSR413も普通にいい色なので問題ないのでしょうが、今回は今までより渋めにしたかったので、他の色を探しました。

それで上塗りように注文したのが「SR414(マンセル値:6.6YR4.3/0.9)」。

思い切って明度・彩度ともに下げました。

そして塗ってみたら。

思っていたとおりの色でした。

一般的にはダークな色ですが、自分の好みには合っていました。

あとは今まで通りひたすら塗るのみ。

上塗りだけで延べ6日かかりました。

 

雨樋、配管カバー、玄関等の塗装

6月5日~10日

雨樋の塗装は、ペーパー掛けして「一液マイルドシリコン(黒)」を2度塗りします。

新築時の黒が蘇りました。

エアコンのカバーはこの機会に新品を購入し、「一液マイルドシリコン(SR414)」を2度塗りしました。
壁の色と同じなので目立ちません。

 

玄関のドアとバルコニーの金属部も下塗りをせず、洗浄後「一液マイルドシリコン(黒)」を直接塗りました。

しかしさすがに玄関はつや有りではてかてかしすぎでおかしな感じになります。

ま、今度機会があったらつや消しを塗り重ねることにしましょう。

バルコニーの金属部を塗装するときは、既に塗った外壁にマスキングすることになります。

最近の塗料は「汚れを寄せ付けない」等のキャッチフレーズがあるのですが、そのせいか養生テープを貼ってもしばらくするとテープが剥がれてしまうのです。

従って「少しずつテープを貼ったらすぐに塗装」そしてすぐにテープを剥がすようにしていきます。

 

バルコニーの目地のシーリング

6月10日

バルコニーの目地は朽ち果てていたのですが、「シリコンシーラント(ブラック)」で埋めました。

 

足場解体

6月12日

私は仕事でいなかったのですが、足場業者の都合もあり、この日に足場の解体をしていただきました。
帰宅するとすっかり足場が撤去されていました。

こうして、工期5週間で全塗装が完成しました。

全景です。

とにかく塗り続けないと終わらないので、モチベーションを維持するのが大変だと思いますが、私は途中くじけることもなくやり終えることができました。

やり終えた後の達成感が格別です。

かかった費用は

足場:約16万円
塗料:約14万円

合計約30万円です。

残った塗料は、持っていてもしょうがないので、オークションで格安で売りました。

 

まとめ

1 足場がなければ絶対できない。

2 塗料はできるだけ水性がよい。

3 色は広い面積を実際塗ってみないとわからない。

4 絶対やり遂げる、という根性があればできる。

というところでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考にできるところは参考にしてください。

工事

Posted by kazu-DIY